• 2015.10.21

GONIN サーガ 激アツトークイベントレポート!

10/17(土)、石井隆監督最新作の『GONIN サーガ』のティーチイン付き特別上映回が実施されました。
石井隆監督のほか、石井作品には欠かせない盟友・竹中直人さん、石井作品初参加ながら鮮烈な印象を残した安藤政信さん、そして、竹中直人さん演じる探偵・明神の相棒を演じた福島リラさんも飛び入り参加。

会場に詰めかけた観客は皆、筋金入りの「GONIN」ファン。『GONIN』はもちろん、『GONIN サーガ』も2回以上観ている人ばかりで、中には監督の作品はすべて初日に観に行っているというツワモノまで!
石井隆監督に直接聞けるチャンスとあり、異常な熱気の中イベントがスタートしました。

まず挨拶に立った石井監督は、「映画のエンドクレジットが出るときに、監督である僕の名前というのは少し静止します。それは、その作品を背負ったという覚悟の表れだと昔、故・相米慎二監督から教わりました。だから僕もそうしてきた。今回こういう場に立って、改めてその責任というものを感じています。」と、観客の気迫に満ちた会場を見渡して襟を正しての第一声。そんな石井監督の作品にはほぼ出演し、監督のデビュー作からほぼすべての作品に出演し、盟友とも言える竹中さんが「監督の作品に出られることが幸せ」と言えば、安藤さんも「いつか石井監督の作品に出たいとずっと思っていた。本当に監督のことが大好き」と監督への愛を吐露。福島さんも「役者経験はまだ浅いけれど、とても思い入れのある作品になった」と語り、唯一無二の石井隆の世界が役者陣をも魅了していることに客席も大きな拍手を送っていました。

石井監督フリークが集まった回だけあって、観客からの質疑応答では、ファンならではのコアな質問が続々。過去のGONINとの共通点や類似点についての質問から、音や演出についての深い質問も飛び出し、熱心にメモを取る人も見受けられるなど、熱いイベントとなりました。

司会:二宮直彦プロデューサー(KADOKAWA)

■公開から1か月近く経ちますが、まわりからの反響などはありますか?

竹中さん:加藤雅也さんから、まさに今日観たよと連絡をもらいました。久しぶりにこういうアクション映画を観たよ!と言ってもらって、本当に嬉しかったですね。

安藤さん:僕も、次に撮る作品の関係者でGONINの大ファンのスタッフがいて。そんなふうに言ってもらうと、「石井作品に出たんだぞ!」と、本当に自慢だし、誇らしい気持ちになりますね。


■先日行われたバンクーバー国際映画祭にも正式招待されました。
監督は実際に現地にも行かれて、ティーチインにもご登壇されましたが、現地の方の反応はいかがでしたか?

監督:そうですね...映画の見方が違うというか、とてもおもしろい経験でした。
日本人なら、この場面ではこんなふうに受け取るだろうなと思って撮ったシーンでも大きな笑いが起こったり、拍手が出たり...
竹中さんや根津さんの懇親のシーンが、「ゾンビみたいだ」と言ってウケていたのには本当にびっくりして、そのあと登壇したときには挨拶に困りました(笑)
自分としては、この作品は壮大なオペラを1作、作り上げるような気持ちで「突っ走るしかない」というくらいの気持ちで臨んでいたので、ここまで捉え方が変わるのかと、感性の違いに驚きましたね。。。まぁ楽しんでいただけたのならよかったのかなと。

客席の方からの質問へ...


■クライマックスのバーズでのシーンは誠司(安藤さん)がしぶとく生き残っていますが、最初からそのような台本だったのですか?

監督:前作でもクライマックスの重要なパーツとして防弾チョッキが出てくるので、それをなぞるような形で今回も印象的に使いたかったんです。前作から引き続き登場する氷頭(根津甚八)が、その防弾チョッキを見て、誠司を仇の大越だと勘違いする、それを意図していました。
前作も実は主役の万代(佐藤浩市)は結構早くに死んでいて、もっくん(本木雅弘・三屋役)が最後まで生き残ったんですよね。だから今回も、主役の東出くん(久松勇人役)よりも、(誠司役の)安藤さんや(麻美役の)土屋さんのほうがしぶとく生き残る、というように、同じ流れにしています。


■『GONIN』も『GONINサーガ』も竹中さんの演技が印象的でした。演じるにあたって、監督からの注文で難しいものはありますか?

竹中さん:監督から言われることで難しいことはそんなにないですね...肉体的に、これ、できるのか?と思うことはあるけど。実際『ヌードの夜』のときにはものすごく寒い日で、ダイビングしなきゃいけなかったのが大変だった思い出はありますが、監督のことが大好きだから、そこは信頼していて、いつも楽しくやらせてもらっています。

安藤さん:何か不安に思ったり、これはどうしたらいいんだろうと思ったら、すぐ監督に電話したりメールして相談してました。それが何時でも、監督はちゃんとセッションしてくれましたね。ひとつ、ラストのスプリンクラーから水が出るシーンの長回しの撮影が、水の量が本当にすごくて(笑)。僕はうつぶせだったからよかったけど、上向きで死んでた人たちは大変だったんじゃないかなって(一同爆笑)
でも監督への愛のほうが強くて(笑)、みんなつらいとかは全くなかったです。

福島さん:本編ではカットされてしまったんですが、私が殺されて、その死体を明神(竹中さん)が発見するシーンで、「余市、起きろ!」と、竹中さんにものすごい勢いで往復ビンタされたんですよね(笑)。でも死体だから反応しちゃいけないし...監督、早くカットかけて!と思ってました(笑)
竹中さん:監督がカットかけないから、まだ何かほしいのかな、続けたほうがいいかなと思って、いろいろやっちゃったんだよね(笑)


■今回の物語はどういう経緯で思いついたのでしょうか?

監督:『GONIN』を撮影していたとき、当時の助監督さんが、クライマックスの場面を撮っているときに、突然カメラを止めてしまって、「こんなに死体がたくさん...」と言って固まってしまったことがあったんです。その時に、僕はバイオレンスをたくさん撮っているから何も感じなかったけど、これがもしかして普通の感情なのかなと、感覚が鈍くなってたかなと思ったんです。そのとき初めて、そうか、殺された側にも家族がいるよな、と。
こっち(監督・撮影スタッフ側)ではなくて、あっち(演者側)に初めて気持ちが向いたんですよね。それでこのストーリーを思いつきました。


■エンディングの東京の街が、『GONIN』と『GONINサーガ』では逆回しですが、その意図を教えていただけますか?

監督:これは内緒です。


■明神(竹中さん)の登場シーンで、カタカタと印象的な音が鳴りました。前作でも使用されていたと思いますが、どんな意図だったのでしょうか?

監督:『GONIN』ではヒットマンの京谷の登場シーンで、カスタネットを鳴らしました。僕はそれを"殺しのカスタネット"と呼んでいたんですけど、荻原の家に殺しに行くシーンから音を鳴らしたので、今回は同じ竹中さんの明神のシーンで使わせてもらいました。


■監督の作品はいつも男女の話が多く、家族は描かない主義なのかと思っていたのですが、今回初めて家族が軸にある話だったなと感じたのですが...

監督:僕はずっと、男と女がどうして出会って、惹かれていくのかとかそういうものに興味があって、わからないなと思っていろいろ撮ってみてたんだけど、結局よくわからなくて。気付いたらそういう作品を撮り続けて時間が経ってしまったんですね。
昔は家族もののドラマが多かったから、男と女ってなんだ?と、誰もドラマなんかで描かないから、男女についての話を知りたかった、というのがあったんですね。


■竹中さんは前作とは別の役柄で続けての出演ですが、荻原と明神、どちらが思い入れがありますか?

竹中さん:僕は寂しがりやだから、隣にコンビで誰かいるほうがいいんですよね。それで今回、僕から監督に相棒をつけてほしいとお願いして。共演して(※大河ドラマ「軍師官兵衛」)すごくいいなと思っていたリラちゃんを推薦したんです。大好きな女優さんがそばにいるというのは俳優にとってはすごく大事なことなんですよね。