3月25日(金)、劇場版(本編129分)に40分の名場面を新たに追加・収録した、『GONINサーガ ディレクターズ・ロングバージョン』(本編169分)のBlu-ray&DVD発売を記念して、発売日当日に角川シネマ新宿にて、ディレクターズ・ロングバージョンの上映イベントを開催致しました。
ゲストには、『GONINサーガ』から主演の東出昌大さん、石井隆監督に加え、『GONIN』シリーズほか石井監督作品のファンである松江哲明監督と中井圭さん(映画評論家)が参戦!ディレクターズ・ロングバージョンの見どころや『GONIN』シリーズの魅力を余すことなく語りつくしました!
■ディレクターズ・ロングバージョンのご覧になってのご感想
東出さん: 僕自身は、すごく楽しめました。急ぎ足ではないので、ロングバージョンは、『GONIN』を初めて観る人にとってもわかりやすく、ストーリーも重厚感があります。
松江監督: 劇場版は石井監督が編集で相当カットしただろうことが窺い知れ、凝縮したおもしろさや、お客さんに委ねている部分があると思いました。それらがロングバージョンで綺麗につながって、より重みが増したと思います。音楽に例えると、劇場版が「DJリミックス」とするならば、ロングバージョンは「コンサートホールで生で音を聴いている」感じです。
■ディレクターズ・ロングバージョンの制作について
石井監督: 公開1週間後に、ロングバージョンをリリースする話を聞いて驚きました。4時間のOKカットの中から、劇場版は半年かけて、1コマ1コマ削っていき、約2時間10分に編集しました。劇場版では、エンドロールに名前が出ていても、カットされて登場していない方がいたりして、申し訳なく思っていたので、ロングバージョンを出せることになって良かったです。ロングバージョンは劇場版とは違い制限がないので、音楽・音をガンガン大きくしたりして暴れています。(ロングバージョンの)約2時間50分をお楽しみいただけたらと思います。
■ディレクターズ・ロングバージョンのお気に入りのシーンについて
東出さん: 全部のシーンが好きだと欲張りな答えになってしまいますが、例えば、麻美が自宅に帰るシーンで、2代目のボディガードがいたり、家の内装や外観がよく見えるなど、新しい画、新しい生活感を見ることができました。シーンの変わり目が親切になっています。
石井監督: おしり!
東出さん: ロングバージョンに、僕のおしりが出るとは!台本にもあって、勿論前張りもしていましたが、我ながらヒヤヒヤしています(笑)。
石井監督: 事務所にも通しています(笑)。
東出さん: 撮影監督の佐々木原さんも、アングルにはかなり気を遣ったと思います(笑)。
■『GONINサーガ』の魅力について
松江監督: 僕は石井監督作品のファンですが、1作目『GONIN』の時は、石井隆監督の新しいエンターテインメントに出会ったと思いました。2作目の『GONINサーガ』は、映画誌や映画評論家に評価され、映画ファンに愛されました。今の日本映画には原作ものなど形に見えやすいものが多い中、『GONINサーガ』のような映画が、映画ファンに待ち望まれていたということが魅力だと思います。石井監督が19年前の『GONIN』を「自己破壊」して新しいものを作り出すのは、今の時代、すごく難しかったと思います。
中井さん: 最近は安易な続編ものが多い気がしますが、『GONINサーガ』は全く異質、魂のこもり方が違う。完璧な続編の作り方をされていたと思います。
■『GONINサーガ』への想い
石井監督: 『GONIN』から19年の時間の流れは感じていました。役者さんが変われば作品も変わる。『GONINサーガ』は、『GONIN』のように作ろうとは思わなかったし、今のベストを常に考えました。玄関から入って一息ついて裏門から出ていく、という常套手段で作ったのがロングバージョンです。次に何が起きるか?お客さんが頭で整理できてから次のシーンに進むので、より感情移入できると思います。
■『GONINサーガ』出演により生まれた変化について
東出さん: 今、『GONINサーガ』のような映画はなかなか撮ることができないと思います。石井監督のもと、魂がこもったスタッフさんと一ヶ月共にできて、財産になる貴重な経験をしたと思います。「熱いもの」「滾るもの」を持っていないと映画は作れないんだということを周りの方々から教わりました。
■最後、締めのご挨拶
松江監督: スクリーンを切り裂く場面、華やかなパーティで朽ち果てていく男たち、柄本佑さんの死に方など、劇場版で好きだったシーンは、ロングバージョンでも好きでした。『GONINサーガ』は、昨年の日本映画の中でも特別な1本。原作ものや小説もののように手が届く範囲の作品ではなく、どこに行くかわからないけど手を伸ばしてみようと思う作品です。スタッフ・キャストの魂がこもった仕事を見させていただき、こういう映画に魂が震える自分がいて良かったと思いました。『GONINサーガ』は、鑑賞後に語りたくなるような、スクリーンを見上げるにふさわしい映画です。
東出さん: 僕が頂いた分厚い台本を読んだ時に感じたおもしろさが、ロングバージョンには詰まっています。一番初めに石井監督が作りたかった映画がこのロングバージョンだと思いますので、石井ワールドを堪能していただければと思います。
石井監督: 3人の男たち(東出さん・桐谷さん・柄本さん)が闇金強奪の直前に着替えるシーンがロングバージョンには入っています。この着替えのシーンだけは見逃さないよう、目を凝らしてご覧いただければと思います(笑)。