• 2015.11. 2

第28回東京国際映画祭クロージングセレモニー&舞台挨拶イベントレポート

ついに閉幕を迎えた第28回東京国際映画祭。
そのクロージングセレモニーが最終日の10月31日(土)に行われ、クロージング上映作品に選ばれた『起終点駅 ターミナル』から
佐藤浩市さん、本田翼さん、尾野真千子さん、篠原哲雄監督が登壇しました。

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今回で6回目の映画祭参加となる佐藤さんは「日本映画らしい作品を携えて今回参加させていただいた事を大変嬉しく思っています。」と挨拶。
さらに「開催するたびにどんどん華やかになっている。その中心に映画があって、映画のために様々な方がここに集まってくださる、こんな嬉しい事はないです。」と喜びを語っていました。

本田さんはこうした催しに参加するのが初めてとあって少し緊張した面持ち。
しかし、「私はほぼ佐藤さんとの二人芝居だったのでとても緊張しましたが、佐藤さんの仕事に対する姿勢を間近で感じる事が出来て、充実した日々でした。」と大先輩へ感謝の言葉を贈っていました。

さらに尾野さんは今年7月に結婚してから初めて公の場に立ったという事で、「久しぶりにこんなにフラッシュを浴びたので緊張しています」と語りつつ、「とてもいい作品に出会えた事、その作品でここに立てる事を大変嬉しく思っています。」と挨拶。さらに、完治という男性に出会うことで運命が変わる冴子という役どころについて聞かれると、「この映画の通り、人生を変えて頂いたと思います。」と、自らの結婚にかけて笑顔で答えていました。

佐藤さんは自らの役について
「25年に起きた悲劇を自分自身で罪として、罰として果ての地に流刑している男です。
人が見ていないから許されるのではなく、罪は自分の心の中にあって、人はそれをどうやって
抱えていけるんだろうな、という事をずっと考えながら演じさせていただきました。」と説明。

最後に監督は「仕掛けの派手な作品がウケる時代ですが、この作品はきめ細やかさを大切にしています。ぜひ皆さんがご自身の人生を振り返るきっかけになればと願っています。」とメッセージを贈り、華やかに開催されたセレモニーの最後を締めくくりました。


<クロージングセレモニー舞台挨拶 トーク内容>

MC:佐藤さんはこれまで東京国際映画祭への参加は6回、
クロージングでは今回が2回目の参加になりますが、お気持ちはいかがですか?

佐藤さん:先日オープニングにも参加させていただきましたが、開催するたびにどんどん華やかになっていると思います。
その華やかな催しの中心に映画があって、映画のために様々な方がここに集まってくださる、こんな嬉しい事はないです。

MC:脚本を読まれた時はいかがでしたか?

佐藤さん:400ページという長編小説を映画化する時はどこをそぎ落とすかを悩みますが、今回は50ページという短編小説の映画化ですので、どこを膨らませるのか、そういった作業を監督と共にしていける作品だと思いました。

本田さん:原作で描かれているキャラクターと自分の役柄でだいぶ違いがあったので、脚本を読んでどうやって敦子を表現していくのかを考えました。

尾野さん:初めて読んだ時、今の日本に失われているものがこの作品にはあると思ったんです。それを篠原さんが撮られるという事だったので、間違いなく日本を代表する作品になると感じました。

MC:原作者の桜木先生とはどのような話をされたんでしょうか?

佐藤さん:こういう解釈でやらせていただきますとお伺いしたんですが、先生も理解してくださって、思い通りにやってくださいとおっしゃってくださいました。

本田さん:撮影の時は少ししかお話できなかったんですけれど、北海道のプロモーションキャンペーンの時に映画を観たご感想などをお話ししました。

尾野さん:一緒にイクラを食べて、記念撮影をしました!

監督:ちょうど佐藤さんと尾野さんのシーンの撮影時に現場に来てくださったのですが、映像になるのを見守ってくださいました。

MC:佐藤さんとの共演はいかがでしたか?

本田さん:私はほぼ佐藤さんとの二人芝居だったのでとても緊張しましたが、佐藤さんの仕事に対する姿勢を間近で感じる事が出来て、充実した日々でした。

MC:尾野さんは佐藤浩市さん演じる完治という男性に出会うことで運命が変わる冴子という役どころでしたがいかがでしたか?

尾野:この映画の通り、人生を変えて頂いたと思います。(本作の撮影は昨年の9月)

MC:完治のような男性はいかがですか?
(※映画内では学生時代の元恋人・完治と、裁判官と被告人という形で再会する。妻子のいる完治だったが、冴子と逢瀬を重ね、ついには二人で暮らそうと言い出してしまう。
旅立ちの日、そんな完治の前で冴子は自ら命を絶ってしまう。25年後、一人で釧路で国選専門の弁護士をしていた完治のもとに、本田翼演じる敦子という女性が被告として現れ、完治の止まっていたときが少しずつ動き始める。)

本田さん:完治さんは静かに物事をとらえる人で、唯一の趣味が料理です。そういう一つのことに集中できる方は私は素敵だと思います。

尾野さん:一人の女性を長く想い続ける男性を素敵と思う方は多いのではないでしょうか。私のまわりは多いです!

MC:佐藤さんはご自身の役をどのように感じますか?

佐藤さん:ここにいらっしゃる男性の方々のほとんどが、優しさの履き違えと愚かさを重々分かっていただけると思っていますが、人間、そして男女は、言葉を持っているからこそ救われる事もあれば、逆に考え違いをしてしまう、そういう中で25年に起きた悲劇を自分自身で罪として、罰として果ての地に流刑している男です。人が見ていないから許されるのではなく、罪は自分の心の中にあって、人はそれをどうやって抱えていけるんだろうな、という事をずっと考えながら演じさせていただきました。

MC:最後に監督から、国内外の皆様にこの作品を通じて感じていただきたい事があればメッセージをお願いします。

篠原監督:人は罪を自らに課しながら生きるという事、また生き直す事ができるという事を完治という男の人生を通して描いたつもりです。
仕掛けの派手な作品がウケる時代ですが、この作品はきめ細やかさを大切にしています。
ぜひ皆さんがご自身の人生を振り返るきっかけになればと願っています。

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