NEWS

主人公のモデルである獣医師 太田快作 & 『犬部!』脚本 山田あかね 現役大学生の動物愛護団体メンバーと徹底討論!

この度、本作の主人公・花井颯太のモデルとなった獣医師の太田快作先生と、本作の脚本を務めた山田あかねさんが登場し、オンライントークイベントを実施しました!

一般から小学生まで230人以上が参加し大盛況となったなか、映画で描かれていた様々なシーンを通し、動物愛護の現実や作品に込められた想いを明かしたほか、青山学院大学の学生を主体とし、アニマルウェルフェア向上・生物多様性の保護を目標に活動している動物愛護団体「きすあに」の現役大学生を交えたトークセッションも!たっぷり約2時間にわたって、これからの動物たちとの未来についての熱い質問と真剣な回答が展開し、ますます映画『犬部!』の意義とメッセージの大きなパワーを改めて感じさせる大盛況のイベントとなりました。


青山学院大学 動物愛護団体「きすあに」×映画『犬部!』 オンライントークイベント
【日時】8月12日(木) 18:30〜
【オンライン登壇者】獣医師・太田快作、『犬部!』脚本・山田あかね


▼イベントレポート

動物愛護団体「きすあに」を立ち上げた張本人であり現役の大学生である平出沙彩さん進行のもと、本作の主人公・花井颯太のモデルとなった獣医師の太田快作先生と、本作の脚本を務めた山田あかねさんが登場。

現役の大学生を中心に、一般~小学生まで230名を超える参加者が、真剣なまなざしで二人の言葉に耳を傾けるなかで、はじめに実際に犬部を立ち上げたきっかけを聞かれた太田は「もともとは個人的に犬や猫を保護していた。獣医学部生として勉強になるし、活動が楽しい、というのが一番です」と話し、脚本を引き受けた当時のことを聞かれた山田は「犬猫を取り扱ってシビアな問題を描くと、人が離れていってしまうことが多いのですが、この作品はプロデューサーさんたちの覚悟を感じられて、ただ面白おかしいドタバタだけじゃない、そして動物愛護だけにも偏らない作品にしたい、と思いました」と述懐。さらに劇中で描かれたフィクションのようなエピソードの多くが実際に太田の実体験だったことが明かされたり、ペットショップや多頭飼育などの様々な問題が取り入れられた脚本について、山田から「事件が起こったり主人公がひどい目にあったほうがドラマは面白いし、作り手は入れたくなる。ただ、トラブルを起こしてしまう人々は極悪非道なわけではなく、元々は犬猫が好きだったけど少しのきっかけでそうなってしまった人が多い。難しい問題だし、それをストレートに発信するのではなくて、エンターテインメントとして皆さんに知ってもらうために表現したいと思った。」と映画化に込められた想いと共に語られました。

 

さらに現状に思い悩む獣医学生や、日々活動している方々に向けてのメッセージとして、太田から「自分も動物が好きで獣医学部に進んだので、動物を殺したくない想いがあって、目の前の子を救う責任と義務は学生にもある。教育を与える側と受ける側は対等、悩んでいたら声を出していくことが大事。それぞれが自分なりに1円でも寄付をするとか、仲間を作るとか、今できることを考えてもがいてほしい」、山田から「うちで考えていても先に進まないけれど、何かを始めると次にやることが何か見えるはず。立派な人だけが動物を飼える社会じゃなくて、救いを求めている人たちのそばにいられる世の中になる仕組みを作りたいですね」と熱いアドバイスが送られたりと、参加者も目からうろこな様子で聞き入っていました。

イベント後半では、参加者から直接質問を募る時間も設けられました。※一部抜粋

Q.獣医師になる前と実際に獣医師になられたあとでギャップを感じたことはありますか?

太田「若い時の自分は、すべて救える、無敵になれると思っていたけど、15年こうしてやってきて、今はどうしても助けられない動物がたくさんいて、救えなかった犬たちとした約束を守れていないこと、まだそうなれていない実力を情けなく思うことは多いです」

 

Q.人間のせいで不幸になった動物たちが多過ぎだと思っています。人間の為に犠牲になっている動物たちを救うことが、私にももっとないですか?教えてください。

山田「世界を救うような大きな問いになりがちだけど、身近なことをしたり、自分が出来る範囲でやるのも良いと思います。」

太田「僕も答えを知りたい。贅沢を言ってすべてを救いたいと言ってしまうが、できることを一つでも多くやることが重要。そのうえで、自分のキャパを広げていくこと、できることを増やしていく大きな視点の意識するのも大事です。」

 

Q.動物虐待や、劣悪な環境下で行われている生体販売など、まだまだ「動物=もの」「動物は人間より下」と考えている人が多いのではないかと感じます。私自身、大学のゼミで「2011年の原発事故で警戒区域に取り残された動物たちの死生観」に焦点を当てて研究しているのですが、動物たちの個性が保障され、「動物=もの」の考え方をなくしていくためには、社会に対して、どのような働きかけをしていく必要があると考えますか。

太田「動物は人ではないから、動物が好きでない人たちから権利が軽んじられがち。動物をものとして扱う人がいる中でも、動物が危害を被らないように、辛い思いをしなくてすむようにする仕組みを模索することが必要だと思います。」

山田「メディアは影響力がすごく大きいから責任が大きい。安易に犬種のブームを作るようなものはやはり良くないし、動物に対するメディアリテラシーをやっていかないといけないと思います。」

 

Q.多頭飼育崩壊や殺処分など動物に関わる問題を解決していくために、多くの人にその現状を知ってもらう必要があると思います。その中で、動物に関心のある人だけでなく、関心が低い人にもそのような現状を知ってもらうためにお二人が工夫している事を教えていただきたいです。また、より多くの人に現状を伝え行動に移してもらうためにこれからきすあにで活動するにあたってのヒントを頂きたいです。

太田「自分は発信することが苦手なので、こうしたイベントや取材に協力して少しでも貢献出来たらと思ってやっています。全員でなくても、興味がある人、行動できる人が一定数いるところまで広がるために何ができるか考えて、それぞれ得意な分野で協力できたらいいと考えています。」

山田「実は、動物に関心がない人ではなく、中途半端に好きになって飽きてしまう人たちがトラブルを起こしてしまう。自分はメディアで仕事をしているし、テレビでも映画でも、たまたま見かけた人が知らないうちに気持ちが変わってくれるよう、間口を広げていきたい」

 

Q.私たちは犬部とは異なり、保護活動をすることが出来ないので、講演会やSNSでの啓発活動をしています。この活動をしていると本当に動物のためになっているのか、私たちの活動には意義があるのか不安になるときがあります。私たちのような大学生や専門性のない学部出身でも動物関係の仕事をしたい人に向けて、お二人からアドバイスをいただきたいです。

山田「自分も実際に助けたりはしていないため、犬のためになっているか不安にもなるけれど、自分の作ったもので、命を救う人が生まれたと知って気持ちが救われている。小さくても動くことが大切かなと思います。」

太田「意味はあります。結果が見えにくい活動である分、不安になるのは仕方ないですが、メディアの力、経理、弁護士、雑用など、ペットと関係ない部分の仕事も大事で、動物病院やボランティア団体に属することが全てではないですよ。」

 

Q.これまでも、犬や猫の命にフォーカスした作品を数々発信されていますが、作品を作るにあたり、動物愛護とエンタメの間を保つことが難しいとのお話もありましたが、人々の心に残るような作品作りという点で心掛けていることはありますか?

山田「太田さんのことも撮らせてもらいましたが、何と言われようと、撮りたいものを撮りたい一心でやっている。ただそのうえで、これが放送されたら傷つく人がいないか、不利益を被る人がいないか、最大限配慮しています。」

 

Q.映画『犬部!』へのこだわりを改めて教えてください

太田「僕が作った作品ではないけれど、最初に山田さんにも伝えたのは、僕が絶対に正しいヒーローのようにはしないで欲しいということ。いろいろな考え方があって、一つの選択をした結果として救われた命があったということを伝わるようにしてほしかったです。」

山田「主人公の颯太(林遣都)のモデルとして、太田さんのやってきたことを主軸にしようと思いながら、対照的な存在となる柴崎(中川大志)もいてほしいし、彼らなりにギリギリの選択をしてきた痛みの部分、光と影のようなところを描きたかったです。」

 

最後には、このセッションを通して得た様々な学びや気付きを通して、参加者それぞれが手元に用意した紙1枚に、これからどうしていきたいかをしたためて一斉に発表することに。

「獣医師になる!」「ボランティアをしてみたい」「明日センターに行きます」などなど、純粋で熱いメッセージが画面いっぱいに埋め尽くされ、映画『犬部!』の持つメッセージの大きなパワーを感じさせるイベントとなりました。

ニュース一覧