深田晃司監督&砂田アトムさん 2人揃っての初の国内舞台挨拶がついに実現!
9月30日(金)本作のティーチイン付き舞台挨拶がTOHOシネマズ シャンテにて行われ、深田晃司監督とパク・シンジ役の砂田アトムさんが登壇いたしました。2人揃っての国内舞台挨拶は初めてという貴重な舞台挨拶となりました。
ヴェネチア以来、深田監督と砂田さんが揃って舞台挨拶をするのは初めてとなった30日のティーチイン。ろうの役者を起用することで時間的な制約など苦労はなかったかという質問に、深田監督は「体感として苦労を感じることはありませんでした。英語の通訳と違って、手話は同時に訳してもらえる。時間的なストレスを感じずにできましたし、砂田さんがプロフェッショナルということも大きかった」と述懐。砂田さんも「他の現場は待ち時間が長かったのに対し、『LOVE LIFE』の現場はスタッフが皆さん温かい方ばかりで、おしゃべりをしながら楽しんでいました」と振り返ります。そして、イベント中は、学び始めたばかりの手話で質問をする観客の姿も。砂田は「手話に興味をもってもらえて嬉しい。でも一番嬉しいのは、学んで継続してもらうこと。これからもたくさん、ろうの方と交流してください」とコメントし、「実際の砂田さんはかっこよくて驚いています」の声には、壇上からウィンクをして笑わせました。
同じ映画を2回観るのは初めてという観客をはじめ、会場からはシーンに込められた意図やこだわりなど細かい質問が飛びます。深田監督は「監督が語ることが必ずしも正解ではないと思っています」と前置きしつつ、「自分はよく、監督と作品の関係を“親と子の関係”に喩えるんです。親が子どものことを全部わかっているかといったらそんなことはない。むしろ、親と子どもは“一番身近にいる他人”。子どもの友達から新たな一面を知らされることもあって、それは監督と作品の関係にも同じことが言える。だからこうした質疑応答は(新たな発見があって)面白いんです」と観客と対話することの醍醐味を熱弁。妙子、二郎、パクの三角関係についての質問には「意識していたのは、3人が3人とも誰かを裏切っているということ。妙子だけが突飛なことをしていて二郎を振り回している形にはしたくなかった。二郎もパクも誰かを裏切っている。自分にとって恋愛を描くことの意義とは、恋する者同士が結びつく高揚感だけではない、“誰かを選ぶと言うことは、誰かを選ばないということである”という、生きることの本質的な残酷さを描きたかった」と吐露。
そして「妙子はいつも本心で笑っていない。監督の描く謎めいた女性像について興味があります」という質問には、「映画というのは、作っている人間の世界の捉え方、人間の見方が反映されるもの。自分自身は、性差に関わらず、人間って何を考えているかわからないと思っている。隣にいる人が何を考えているかわからないから、私たちは想像するしかない。スクリーンに映っている登場人物とお客さんも、その距離感で向きえる作品にしたいと思っています」とこだわりを明かしました。