2016.3. 3

現代の無法地帯は経済界だ!と喝破するのが『マネー・ショート 華麗なる大逆転』だ。リーマンショックの発生を見抜き、勝ち抜いた男たちについてのノンフィクションが原作。
 新商品開発を続ける銀行が詐欺まがいの債権を売り出したために、「家を持ちたいが貧しい」人たちが翻弄され、世界の経済がぶっ壊された。その始まりから撃沈までの顛末を、経済用語のわかりづらさにギャグで対抗して、ゲラゲラ笑える映画に仕立てたアダム・マッケイ監督が素晴らしい。キャラクターはそれぞれ際立ち、キャストには主演級が並ぶ。
 自由競争社会の花形たちが扱う高度金融=金を動かして金を生むゲームの進化は、資本主義の到達点らしいが、それは世界の富を1%の金持ちに集中させ、格差を広め、社会を壊し続けている。そんな現実への怒りが、全編を貫いて、熱い。

                                             町山広美