アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』の上映会&トークイベントが4月16日(土)に宮城県石巻市で開催され、本作をプロデュースした明石家さんまと渡辺歩監督が登壇しました。東日本大震災の年以来、11年ぶりに石巻を訪れたというさんまは、復興が進んだ街並みの様子に感動。「人の力はすごい」と熱く語りました。
震災の年に番組で石巻を訪れたというさんまは、「お招きいただきありがとうございます。今年、こうして来られたわけですけど……遠い! 仙台駅からボロい車で来たので腰が痛い!」と、さっそく笑わせます。そして渡辺監督とのトークでは、西加奈子作品を映画にしようとした理由や、アニメ化までの経緯、さらにはアフレコ現場でのエピソードを楽しく振り返りました。
イベントの最後には、2人が来場者に向かってこう挨拶しました。
「石巻に来られたことに感謝しております。今日はありがとうございました!」(さんま)
「少し前も揺れ(地震)がありましたが、そういうなかで作品を届けられたことが何よりうれしいです。『肉子』が少しでも安らぎの一部になれば幸いです」(渡辺監督)
イベント後の囲み取材に応じたさんまは、押し掛けた多くの記者を見て「医療ミスでもしたんかと……」とボケてみせながら、1200人が入る会場いっぱいに観客が詰めかけたイベントを振り返ります。
「まさか、これだけたくさんの人が来ていただけるとは夢にも思っていませんでした。10年経って復興していますが、1,000人も人が来るのかと思って、客席を見ると(たくさんの人で)安心しました」
仙台から石巻までの道中、車窓から街並みを眺めてきたというさんま。11年前に訪れた際の、震災から間もない被災地の光景が目に焼き付いていると言いながら、「何もなかったところに、家やビルが建っていて……人の力は本当にすごいなと思いました。改めて感動しながらここに来させてもらいました」と感慨深げに話しました。
映画は、漁港の船に住む血のつながっていない母娘・肉子ちゃんとキクコが紡ぐ感動のハートフルコメディです。原作の“原点”である石巻で上映するのが目標だったいう渡辺監督は「人それぞれにある大切なふるさとを感じていただけたら」とコメント。
さんまは自身の経験を振り返りながら、こう語りました。
「僕は、短い期間ですけど、二千翔(にちか)という自分の子どもじゃない子を何年か育ててきたことがあるんで、自分と照らし合わせながら映画を作っていました。何回観ても(映画の中の)病院のシーンは泣いてしまいます。人間とはこういうもんだ、仲間ってこういうもんだって、わかっていただけたらありがたいです」
バラエティー豊かなキャスト陣も大きな話題になったこの作品ですが、囲み取材ではそのキャスティングの“秘密”についても語られました。
まずは、肉子ちゃんの声を演じた大竹しのぶは、スタッフからの要望でキャスティングされたとのこと。一方、キクコの声を演じたCocomiは、さんまとの“約束”があったと言います。父・木村拓哉と親交のあるさんまは、小学生時代のCocomiが声優の勉強をしていると聞き、「将来、俺がアニメ作るからお前、主役な!」と冗談交じりに話したことがあるんだとか。
今回、その時の約束を果たすためにオーディションに来てもらったところ、スタッフも驚く才能を見せて、実力で主役の座を射止めたそうです。「(監督やスタッフ曰く)ココちゃん(Cocomi)の声が美しいらしいんですよ。声が美しいって、ボク言われたことないし、美しい声って何なん?」とさんま。初めての声優というだけでなく、初めての関西弁を完璧に仕上げたことについても、「ココちゃんのすごさを感じました」と振り返りました。
4月27日(水)に発売されるBlu-ray&DVDでは、メイキング映像や舞台挨拶など貴重な特典映像がつく豪華版も。泣く泣くカットした映画未映像化シーンの絵コンテ入り特製ブックレットなども封入されています。
その魅力や見どころを問われると、さんまは、台本以外のアドリブシーンが多く、監督に苦労をかけたことを謝罪しつつ、「アフレコとか確認を含めると、200回は見たと思いますけど……飽きない」と笑わせます。渡辺監督は「アドリブがたいへん多いので、もともとの台詞運びから、師匠のアレンジされた部分を探して、耳で確かめていくと楽しいかもしれません」とアピールしました。