2018.03.20
2018.03.20
『さよ朝』公開から、もうすぐ一か月がたちます。観てくださった皆さんのTwitterやブログ、イラスト、心のこもったお手紙。すべての気持ちが、嬉しくありがたくて……日々、幸せをいただいています。何度も観てくださった方もいらっしゃるようで、本当にありがとうございます。
私も先日、一人でバルト9に行って客席で観てきました。
音響監督の若林さんに「ぜひ、この辺りの座席で観てほしい。一番、想定している音が聞こえるから」と言われた席で……もう、すごかったです。声も音楽も、効果音も。すべての音が絶妙な強弱で混ざりあい、ぐんぐん心に迫って来ました。
若林さんと音響チームの皆さんは、今回とても繊細で絶妙な、ギリギリを攻めた音作りをしてくださいました。音の素材も、これ以上ないぴったりなものを探して作ってくださって。エリアルの赤ちゃん時代の声も、実際の赤ちゃんの声なんです。「まま」という、初めての台詞も。実際は「まんま(ご飯)」と言っているそうで……なんと、本能に根差した言葉!
音楽を担当してくださった川井憲次さんも、若林さんに紹介していただいたんです。川井さんは憧れの存在ですので、まさか関わってくださるとは思っておらず。最初は緊張しましたが、とても優しい方で、こちらの無茶なオーダーにもこたえてくださいました。シーンにぴったりとあった音楽は、時にシーンを飛び越し、時に一歩下がり……そのドラマティックな緩急は、音楽そのものから感情があふれだすようです。
若林さん、川井さん、音響チームの皆さんとお仕事をさせていただきつくづく思ったこと。それは、「すごい人って柔軟だ!」ってことです。
どのセクションのスタッフもそうなんですけど、本当に「すごい」と呼ばれる人って、偉そうにしている人がいないんです。一緒にお仕事をさせていただいて、その理由がなんとなくわかりました。人格者であるとかそれ以前に、皆さんいつまでもチャレンジャー。向上心があって、自身と作品の可能性をどんどん掘り下げていく。だからこそ、ふんぞり返っている暇はないんだなって。私もそうなりたいって、強く思いました。
そして、別作品になってしまいますが。P.A.作品の『花咲くいろは』で書いた、緒花の台詞(モノローグ)を思い出しました。
「女将さんみたいに仕事に誇りをもって、一生懸命になって。ちょっと子供っぽくて。いつまでも、いちばん最初の気持ち。最初の夢を、忘れないで……そんな風に、なりたい」
この作品のスタッフには、私にとっての四十万スイがいっぱいです!
『さよ朝』制作ブログですが、少し脱線させてください。『花咲くいろは』に登場した福屋という旅館のモデルである秀峰閣さんが、3月17日に閉館されました。湯涌を旅した皆さんの、素晴らしい思い出が生まれた場所。私にとっても作品にとっても、大切で忘れられない場所です。たくさんの宝物を、ありがとうございました!